カルロス・ゴーン被告の出国についての雑感

2019年も終わろうとしている12月31日に刑事司法に関係するニュースがまた一つ。

カルロス・ゴーン被告が出国したとの報道。

司法関係者が事実関係を確認中のようですが、どうもフェイクニュースではなさそうです。

裁判手続は停止

日本の刑事裁判の第一審は、被告人が裁判に出なければ開廷することができません。

出国して被告人が不在となれば、公判期日を開く見通しがないことになります。

よって、裁判手続は停止するほかなく、15億円とされる保釈保証金は没収することになるでしょう。

保釈制度に問題あり?

保釈は、保釈保証金の納付を条件として被告人の身体拘束を解く制度です。

逃走したり、保釈条件に違反した場合に納付した保釈保証金が没収されることになるので、保釈保証金の没収というのを威嚇として、逃げずに裁判に出ることを期待するということになります。

15億円もの保釈保証金でも逃亡を防止することができなかったのであれば、カルロス・ゴーン被告にとって15億円の保釈保証金が低額だったという議論もあり得るかもしれません。

また、現在の保釈制度が逃走を防止するのに十分でなかったという議論もあり得ます。

現在の刑事訴訟法は国外に逃げることを余り想定していないのか、保釈中であっても、入管法上出国できなくなるわけではありません。

刑事訴訟法と出入国管理及び難民認定法の調整がなされていないことはかなり前から指摘されていました。

私は出入国事務については疎いですので、技術的に難しい問題があるかもしれませんし、カルロス・ゴーン被告は偽名を使って出国した可能性もありますので、問題点がずれているかもしれませんが、刑事訴訟法と出入国管理及び難民認定法は連動していないというのは指摘していいでしょう。

また、現在の保釈制度はGPS装置を保釈条件として義務づけるようなことは想定していません。

現在の保釈制度は逃亡防止に十分なのかというのは十分議論に値する事項だと思います。

おわりに

年明けになると、カルロス・ゴーン被告がどうやって出国したのかについて本格的に報道されるでしょうし、そのときに保釈制度自体に問題があるのではないかということも議論されるでしょう。

適正な裁判の実現と身体拘束からの解放はともに重要なことですので、その調和を図るよう建設的な議論に期待したいです。単に保釈はダメだというのでは感情論に過ぎないと思います。実際には保釈された被告人の大半は問題なく裁判に出ていますので、保釈を狭める議論はそれはそれで大きな問題があります。

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