青色申告特別控除を受けるには複式簿記による記帳などが必要です

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10万円控除と55万円控除の違いは大きい

個人の青色申告特別控除には、10万円と55万円、65万円の3種類があります。

所得税は、所得が多くなるにつれて、段階的に税率も上がりますので、一概には言えませんが、仮に税率10%とすると、10万円控除と55万円控除の差は、(55万円-10万円)×10%=4万5000円となります。

4万円以上税金が安くなるとなると、この差は大きいです。

但し、55万円控除を受けるためには、その分努力をしなければいけません。

10万円控除との大きな違いは、55万円控除の場合は、複式簿記により記帳を行い、仕訳帳・総勘定元帳を作成しなければいけない点です。

複式簿記による記帳が必要

複式簿記による記帳は、左と右のそれぞれに科目と金額を記載する方法です。

左側を「借方」、右側を「貸方」と呼んでいます。

例えば、100万円の商品を掛売上したような場合は、次のように記帳(仕訳)します。

(借方)         (貸方)
   売掛金 1,000,000     売上 1,000,000

簿記検定というものがありますが、基本的にはこの複式簿記の記帳の仕方を扱っています。

仕訳帳と総勘定元帳の作成も必要

このような仕訳を日々記帳していくのですが、日付順にまとめたものが、「仕訳帳」、勘定科目別にまとめたものが「総勘定元帳」です。

勘定科目別にまとめるというのは、例えば、「売上」だとか「預貯金」という科目ごとにまとめるということです。

1年間の売上がいくらかを確かめようとすると、仕訳帳では、「売上」と記載のある部分を探して、それを集計しなければなりません。

しかし、総勘定元帳があれば、「売上」が集約されていますので、合計額を見れば、1年間の売上を把握することができます。

青色申告の65万円控除を受けるには、この「仕訳帳」と「総勘定元帳」の両方を作成することが必要です。

結構ハードルが高い。

エクセルで記帳をしている方もいると思いますが、それでは「仕訳帳」はできても、「総勘定元帳」はなかなか難しいです。

なので、通常は、会計ソフトを使います。

会計ソフトは、仕訳をすれば、「仕訳帳」と「総勘定元帳」を自動的に作成できる機能が付いています。

シェアが大きいところでいうと、「やよいの青色申告」あたりですが、最近はクラウド会計の「freee」「Money Forward」といったところもあります。

ちなみに、「やよいの青色申告」は、最初にソフトを1万円強で購入し、その後、更新料を年間1万円ほど支払えば、バージョンアップされますので、継続して使用が可能です。

自分で日々の仕訳をすることができる方であれば、会計ソフトを使って、55万円控除をした方が節税できる金額は大きいといえます。

損益計算書と貸借対照表の添付が必要

あと、55万円控除を受けるためには、確定申告書に損益計算書貸借対照表の2つを添付する必要があります。

10万円控除の場合は、貸借対照表の添付は不要ですが、55万円控除の場合は、損益計算書と貸借対照表の2つの添付が必要です。

上記で述べた「仕訳帳」や「総勘定元帳」は確定申告書に添付する必要はありません。

しかし、帳簿は保存義務がありますので、確定申告が終わっても7年間は保存する必要があります。

65万円の青色申告控除を受けるには?

令和2年分の所得税の確定申告から、青色申告控除で65万円の控除が認められるには、①又は②のいずれかを満たす必要があります。

① 電子申告をする(e-Taxによる申告)

② 電子帳簿保存をする

②の電子帳簿保存を選択する人は少数だと思いますので、①の電子申告が必要と考えていただければ結構です。

そのため、②の電子帳簿保存をしていない限り、令和2年分以後の確定申告書を紙で提出しても、65万円の青色申告控除は認められません。

65万円控除が認められるためには、国税庁の確定申告コーナーを使うなどして、電子申告をする必要があります。