遺産分割をやり直すことができるか?
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遺産分割協議をやり直すのは難しい
たまに、遺産分割協議書に押印してくれと言われたので、押印して印鑑証明書とともに渡したが、その後、よく考えてみると、自分が損をしているのでやり直せないかという相談を受けることがあります。
しかし、一旦、相続人全員が押印して完成させた遺産分割協議書を白紙の状態に戻すことは基本的にできません。
詐欺や強迫といった事情があれば取り消すことができると民法の教科書には書かれていますが、そこまでの事情は通常存在しないか、証明できませんので、遺産分割協議を撤回することは難しいのです。
相続人の全員が遺産分割協議書に押印をして、印鑑証明書もそろっていれば、後は、不動産や預貯金をもらうことになった相続人が一人で名義変更ができます。
よく中身を見ていなかったというのは通用しない
言われるがままに押印してしまって中身をよく確認していなかったという人もいますが、それは通用しません。
書類に印鑑を押したということは、その書類の中身を確認して納得したから押したんでしょうと言われてしまいます。
実際にはよく吟味していなかったといしても、書類の中身を確認せずに押印する方が悪いと扱われます。
あと、書類に押印してくれと言われたので押印しただけであって、実際には相続人で話し合いなんかしていないとおっしゃる方もいます。
しかし、遺産分割協議書に押印したということは、話し合いをして納得したからであると言われてしまいます。
遺産分割協議書に納得ができないのなら押印しなければいいのに、押印したということは納得したということであると扱われます。
相続税の申告のために必要だからと言われて、急かされたというのも通用しがたいです。
補足すると、相続税法では相続税が安くなる特例がいくつかあるのですが、遺産分割協議が成立していないと適用できないものがあります。その適用を受けるために、とりあえず遺産分割協議が成立したことにして税務申告をしたというケースを見かけたことがあります。
このような行為は推奨される行為ではありませんが、仮にそうするにしても、この遺産分割協議書は税務申告をするための仮のものであるという一筆を取っておくべきです。
そうしないと、後でそんなことは言っていないと言われたら終わりです。
まとめ
このように、遺産分割協議書が一旦成立すると、それを撤回するのはほとんど不可能です。
慌てずに内容をしっかり確認して納得してから押印しましょう。